HPE VM Essentialsは仮想環境の救世主となり得るか!?
こんにちは!エス・ワイ・シーの岡本です。
昨年末にHPE VM Essentialsがダウンロード可能になりました。
バージョンは8.0.1、偶然かもしれませんが、VMwareを意識したかのようなバージョンになってますね・・
HPE VM Essentialsとは?
HPE VM Essentialsをご存じでない方に説明しますと、HPE社が開発したハイパーバイザーです。
当初はGreenLakeというクラウドサービスでのみ利用できる製品でしたが、単体のイメージとしても提供されることになり、通常のProLiantにインストール可能な製品となりました。
仮想化のベースとしてはKVMを利用し、MorpheusというVMwareで言うvCenter的なシステムから全体を管理する仕組みとなっています。
昨年Proxmox VEを検証していた際も「ハードウェアベンダーが正式にサポートしていれば・・・」と考えていましたが、このハイパーバイザであればソフト、ハード両方の保守が期待できます!
HPE VMEのデプロイ
早速検証用にISOイメージをダウンロード・・・ん?・・・
VME ソフトウェアを適用する前に、各サーバーに Ubuntu 22.04 オペレーティング システムをインストールする必要があります。
これは予想外(;’∀’)
てっきりESXiやProxmoxと同様、ISOイメージをマウントしてインストールするものだと思ってましたが、Hyper-V式でOSのインストールからです。
気を取り直してOSを構築していきます。通常通りインストールすればいいのですが、以下サイトに要件や手順が記載されていますので、基本的にはこちらに従って構築します。
HPE VM Essentials Software Documentation
OS構築は割愛し、ここからようやく本番です。
ダウンロードしたISOファイル内に拡張子debのインストールパッケージがあるので、サーバ上の任意のフォルダにコピーして以下コマンドを実行します。
こちらは全サーバで実行します。
sudo apt install -f ./hpe-vm_1.0.2-1_amd64.deb
また、同じくISOファイル内に拡張子gzのファイルもあります。これがMorpheus仮想マシンとして動作しますので、合わせてコピーしておきますが、こちらは任意の1台のみです。
インストール後、以下コマンドを実行すると、HPE VM Consoleが起動します。
sudo hpe-vm
Install Morpheusを選択し、Morpheusのインストールパラメータを設定します。
IP Address:Morpheus自身のIPアドレスを設定します。
Admin User:sshでMorpheusにログインする場合に使用するユーザーです。URLログインする際のアカウントはインストール後に設定します。
Appliance URL:実際に接続する際のFQDNで記載します。
Image URI:先程コピーした拡張子gzファイルまでのパスを記載します。file:///[フルパス]という形で指定します。
Management Interface:各ホストに設定している管理ネットワークのデバイス名を記載します。
最後にInstallを選択すれば、Morpheusのインストールが始まります。
93%程進んだ時点で設定したURLへ接続すると、Morpheusのロード画面が閲覧できます。
インストールが完了すると以下の表示となり、初期セットアップ画面が表示されます。
ユーザー名等を設定し、ログインします。今風な画面ですね!日本語表示も有難いです。
クラスター構築
Morpheus特有のメニューは一旦置いといて、VMwareのようにクラスターを組めるか確認してみました。
共有ストレージやクラウドストレージの接続、さらにProxmoxと同様Cephを用いたHCIクラスターを組めそうです。
ただ現時点では接続可能ストレージはAlletra Storage MP B10000 に限られているため、とりあえずiSCSIで繋いでみます。
クラスター作成画面で、レイアウトをHPE VM 1.1 Cluster on Exinting Ubuntu 22.04にすることで、クラスターを構成できます。
SSHホスト:登録するホスト名とIPアドレスを入力します。
MANAGEMENT INTERFACE:管理インターフェースに設定しているデバイス名を入力します。
しばらくするとホストがクラスターに登録されます。
次にAlletra Storage MP B10000 のボリュームをiSCSIで接続しますが、VMwareと違って全てコマンドで実行します。
以下パッケージを導入して、一般的なiscsiadmコマンドによる設定となりますので、ここは割愛させて頂きます。
sudo apt install linux-generic-hwe-22.04
(正直iSCSI設定はGUIで出来るようになって欲しいですね・・)
設定が完了すると、各ホストのストレージ画面にデバイスが表示されます。
データストア追加時、「GFS2 Pool」を選択すると対象のボリュームが表示されます。
仮想マシンの作成
これで一旦形だけは出来上がりましたので、試しにWindows Server仮想マシンを作成してみます。
まず仮想イメージ画面より、ISOイメージを登録します。
ファイルの追加からISOファイルをアップロードします。
VIRTIOドライバーがロードされていますか?にチェックが入っていないと、ディスク等の読み込みが出来ないので必ずチェックします。
次にプロビジョニングから、インスタンスを追加します。
インスタンスのタイプは「HPE VM」を選択します。実はMorpheusでESXiの管理もできるようなので、参加させていれば「VMWARE」を選択出来そうです。
CPUとメモリはプランという名のテンプレートから、ボリュームとネットワークは任意のものを選択できます。
イメージには先程作成したISOイメージ名を選択します。
ここでも高度なオプションからATTACH VIRTIO DRIVERSにチェックを入れます。
しばらくするとインスタンスが出来上がります。
コンソールを立ち上げて、インストールを進めていきます。ディスク選択画面で予想通りドライブが見つからなかったので、VIRTIOドライバを選択します。
読み込まれたドライバの中から、OSに合わせたものを選択します。
(今回はWS2022なので、2k22というフォルダ内のファイルを選択)
無事ドライブが見えました!
仮想マシンの移行
最後にVMwareのvMotion的なことが実施できるか試してみました。
仮想マシンのアクションからManage Placementを選択します。
移行先のホストを選択し、変更の保存を選択します。
Move Serverタスクが実行され、問題なく移行されました!
この後ホストをシャットダウンコマンドで停止させてHAの動作も確認しましたが、例によってNestedで構築した影響か時間を要しつつも、何とか仮想マシンは自動的に移行されることを確認しました。
まとめ
国内リリースは2月を予定しているとの記事も出ています。費用感についても記載されていますが、今のVMwareライセンスに比べればリーズナブルになることが予想されます。
使用感はVMwareと大幅に異なるので慣れが必要ですが、ログ以外はほぼ日本語化されているので、慣れるまでそこまで時間は要しないかと思います。
ストレージの選択肢や、HCIとして利用できるようになればよりVMwareの代替として候補に挙がってくるかもしれません。
今後も新しい情報があれば随時ブログでご報告させて頂きます!