HPE VM Essentialsは仮想環境の救世主となり得るか!?

こんにちは!エス・ワイ・シーの岡本です。

昨年末にHPE VM Essentialsがダウンロード可能になりました。

バージョンは8.0.1、偶然かもしれませんが、VMwareを意識したかのようなバージョンになってますね・・

HPE VM Essentialsとは?

HPE VM Essentialsをご存じでない方に説明しますと、HPE社が開発したハイパーバイザーです。

当初はGreenLakeというクラウドサービスでのみ利用できる製品でしたが、単体のイメージとしても提供されることになり、通常のProLiantにインストール可能な製品となりました。

仮想化のベースとしてはKVMを利用し、MorpheusというVMwareで言うvCenter的なシステムから全体を管理する仕組みとなっています。

昨年Proxmox VEを検証していた際も「ハードウェアベンダーが正式にサポートしていれば・・・」と考えていましたが、このハイパーバイザであればソフト、ハード両方の保守が期待できます!

HPE VMEのデプロイ

早速検証用にISOイメージをダウンロード・・・ん?・・・

これは予想外(;’∀’)

てっきりESXiやProxmoxと同様、ISOイメージをマウントしてインストールするものだと思ってましたが、Hyper-V式でOSのインストールからです。

気を取り直してOSを構築していきます。通常通りインストールすればいいのですが、以下サイトに要件や手順が記載されていますので、基本的にはこちらに従って構築します。

HPE VM Essentials Software Documentation

OS構築は割愛し、ここからようやく本番です。

ダウンロードしたISOファイル内に拡張子debのインストールパッケージがあるので、サーバ上の任意のフォルダにコピーして以下コマンドを実行します。

こちらは全サーバで実行します。

sudo apt install -f ./hpe-vm_1.0.2-1_amd64.deb

また、同じくISOファイル内に拡張子gzのファイルもあります。これがMorpheus仮想マシンとして動作しますので、合わせてコピーしておきますが、こちらは任意の1台のみです。

インストール後、以下コマンドを実行すると、HPE VM Consoleが起動します。

sudo hpe-vm

Install Morpheusを選択し、Morpheusのインストールパラメータを設定します。

IP Address:Morpheus自身のIPアドレスを設定します。

Admin User:sshでMorpheusにログインする場合に使用するユーザーです。URLログインする際のアカウントはインストール後に設定します。

Appliance URL:実際に接続する際のFQDNで記載します。

Image URI:先程コピーした拡張子gzファイルまでのパスを記載します。file:///[フルパス]という形で指定します。

Management Interface:各ホストに設定している管理ネットワークのデバイス名を記載します。

最後にInstallを選択すれば、Morpheusのインストールが始まります。

93%程進んだ時点で設定したURLへ接続すると、Morpheusのロード画面が閲覧できます。

インストールが完了すると以下の表示となり、初期セットアップ画面が表示されます。

ユーザー名等を設定し、ログインします。今風な画面ですね!日本語表示も有難いです。

クラスター構築

Morpheus特有のメニューは一旦置いといて、VMwareのようにクラスターを組めるか確認してみました。

共有ストレージやクラウドストレージの接続、さらにProxmoxと同様Cephを用いたHCIクラスターを組めそうです。

ただ現時点では接続可能ストレージはAlletra Storage MP B10000 に限られているため、とりあえずiSCSIで繋いでみます。

クラスター作成画面で、レイアウトHPE VM 1.1 Cluster on Exinting Ubuntu 22.04にすることで、クラスターを構成できます。

SSHホスト:登録するホスト名とIPアドレスを入力します

MANAGEMENT INTERFACE:管理インターフェースに設定しているデバイス名を入力します。

しばらくするとホストがクラスターに登録されます。

次にAlletra Storage MP B10000 のボリュームをiSCSIで接続しますが、VMwareと違って全てコマンドで実行します。

以下パッケージを導入して、一般的なiscsiadmコマンドによる設定となりますので、ここは割愛させて頂きます。

sudo apt install linux-generic-hwe-22.04

(正直iSCSI設定はGUIで出来るようになって欲しいですね・・)

設定が完了すると、各ホストのストレージ画面にデバイスが表示されます。

データストア追加時、「GFS2 Pool」を選択すると対象のボリュームが表示されます。

仮想マシンの作成

これで一旦形だけは出来上がりましたので、試しにWindows Server仮想マシンを作成してみます。

まず仮想イメージ画面より、ISOイメージを登録します。

ファイルの追加からISOファイルをアップロードします。

VIRTIOドライバーがロードされていますか?にチェックが入っていないと、ディスク等の読み込みが出来ないので必ずチェックします。

次にプロビジョニングから、インスタンスを追加します。

インスタンスのタイプは「HPE VM」を選択します。実はMorpheusでESXiの管理もできるようなので、参加させていれば「VMWARE」を選択出来そうです。

CPUとメモリはプランという名のテンプレートから、ボリュームとネットワークは任意のものを選択できます。

イメージには先程作成したISOイメージ名を選択します。

ここでも高度なオプションからATTACH VIRTIO DRIVERSにチェックを入れます。

しばらくするとインスタンスが出来上がります。

コンソールを立ち上げて、インストールを進めていきます。ディスク選択画面で予想通りドライブが見つからなかったので、VIRTIOドライバを選択します。

読み込まれたドライバの中から、OSに合わせたものを選択します。

(今回はWS2022なので、2k22というフォルダ内のファイルを選択)

無事ドライブが見えました!

仮想マシンの移行

最後にVMwareのvMotion的なことが実施できるか試してみました。

仮想マシンのアクションからManage Placementを選択します。

移行先のホストを選択し、変更の保存を選択します。

Move Serverタスクが実行され、問題なく移行されました!

この後ホストをシャットダウンコマンドで停止させてHAの動作も確認しましたが、例によってNestedで構築した影響か時間を要しつつも、何とか仮想マシンは自動的に移行されることを確認しました。

まとめ

国内リリースは2月を予定しているとの記事も出ています。費用感についても記載されていますが、今のVMwareライセンスに比べればリーズナブルになることが予想されます。

使用感はVMwareと大幅に異なるので慣れが必要ですが、ログ以外はほぼ日本語化されているので、慣れるまでそこまで時間は要しないかと思います。

ストレージの選択肢や、HCIとして利用できるようになればよりVMwareの代替として候補に挙がってくるかもしれません。

今後も新しい情報があれば随時ブログでご報告させて頂きます!