HPEが提供するSDS製品 と Qumuloストレージについてもう少し詳しく


こんにちは、エス・ワイ・シーの島田圭吾です。

今回はHPEが提供するSDS製品の代表格である「Cohesity」(コヒシティ)、「Qumulo」(キュムロ)、「Scality」(スキャリティ)の3製品についてそれぞれがどのような用途に適している製品なのかをお伝えするとともに、その中でもファイルサーバーとして注目を集める Qumulo についておさらいしたいと思います。

なお、これら3つのSDS製品はHPEが開発したものではないのですが、それぞれが特徴を持ちながら非常に優れていることからHPEのProLiantと組み合わせた販売活動をすることで提供が可能となっています。


この3製品の特徴を簡単に表すと下記の適用目的に分けることができます。

 ・Qumulo (超速ファイルサーバー型: 多数ノードからの高速I/Oが得意なファイルサーバー)

 ・Cohesity (多機能ファイルサーバー型: セキュリティ/改ざん防止/バックアップなど万能機能)

 ・Scality (オブジェクトストレージ型: 高速読み出しを得意とするデータ配信ストレージ)

SDS最大のメリットである柔軟な拡張性については3製品ともスケールアウト(筐体を増やすことで容量・処理能力を向上させる)のタイプとなります。

Qumuloは後でおさらいをするとして、まずはCohesity と Scality について簡単にお伝えします。


■ Cohesity とは

Cohesity はデータ保護やセキュリティに意識を向けた従来型ファイルサーバーの集約先として最適です。これまでのファイルサーバーには、セキュリティ、バックアップ、ディザスタリカバリやアーカイブ、また将来のクラウド連携を考慮する必要がありました。それらは個別の仕組みでそれぞれが異なる管理機能を提供し、複数のベンダーをまたいで利用することが多く、管理者としてはとても大変だったことでしょう。

Cohesity はこれらをまとめて統合管理する製品というコンセプトで開発されたSDSですので企業データ管理の統合プラットフォームとして非常に有用な製品と言えるでしょう。そして特筆すべきはそのセキュリティ性能の高さです。昨今、日本企業が多くターゲットとなっているランサムウエアにもCohesity で対策できるでしょう。


■ Scality とは

Scality は従来型ファイルサーバーとは異なるオブジェクトストレージという製品です。例えばサーバー上に保存されたエクセルファイルの更新を行うという操作の場合、ファイルサーバーでは直接更新が可能ですがオブジェクトストレージの場合はストレージ上で更新はできません。一度、ローカル環境で更新したものを再アップロードするような運用となります。

ではオブジェクトストレージのメリットとは何でしょうか。実はデータが全て完結した塊で保存されていることから効率的に読み出しが可能で高速なRead性能とデータ検索が可能です。そのため音楽配信や画像・動画データ、機械学習の為の蓄積情報など編集する必要が無い大容量データの格納に最適な製品です。


■ Qumulo についてもう少し詳しく

2012年に元isilon Systemsのメンバーが立ち上げたSDSメーカーです。スケールアウト型NASでシングルネームスペース、Erasure Codingのデータ冗長保護、まるで isilon のSDS版として開発された製品です。実はコマンドラインなんかもisilonに似ているんだとか。

つまり、開発段階からこのQumulo の競合製品は Isilon(現行製品名:Dell EMC Power Scale isilon)なのです。

ファイルシステムは、Qumulo Filesystemと呼ばれるものでフラッシュデバイスを前提とした設計となっておりBツリーデータ構造です。isilonではファイルを128KBのチャンクレットに分割しデータ保護を実行していますが、Qumuloはブロックレベルでデータ保護を実行しており、4KBブロックによるアドレス管理を採用しています。ですので、Qumuloだと例えば1億近い小さいファイル(128K以下など)のスモールファイルにはisilonより容量効率が良く、リビルドも高速で不安定な性能を解消できます。

ファイルシステムにリアルタイム分析エンジンが統合されており、容量・パフォーマンス分析を瞬時に確認可能です。また直感的にわかりやすいユーザーインターフェースです。

Qumulo のQuota設定に関するインターフェースです。

■ まとめとしてQumulo の特徴

・最小4台からのクラスタでシングルネームスペースを提供

・管理/メタデータ/ゲートウェイなどの専用管理サーバーは不要

・複数ノードまたがったデータ管理で4KB 微細ブロックレベル構造

・性能と容量はノード追加することで拡張(追加は1台からで自動リバランス)

・リアルタイム可視化・分析が可能

・マルチプロトコル対応(SMB/CIFS、NFS、FTP、REST-API)

・追加ライセンス不要で多機能(スナップショット、レプリケーション、可視化、Quota、S3データコピー、Autid Log、クロスプロトコルパーミッション、ロールベースアクセス制御など ※Isilon ではレプリケーション、分析、監査などこれら別途ライセンス追加が必要

・高度な安定性(ストレージ95%使用時でもIOPS低下なしのため80%ベースのサイジング不要)

つまり、Qumulo の利用シーンとして、多数ノードからの同時大量アクセスにも耐えうるシングルネームスペースの大容量ファイルサーバーに最適です。デジタル映像制作や高度技術計算、大規模画像データ分析などには特に威力を発揮することでしょう。

今のところ提供としては、HPE からApollo4200とProLiant DL325 Gen10 Plus、Dell EMC から PowerEdge RX740xdにQumulo を組み込んだアプライアンスとして提供、その他Fujitu からQumuloのファイルデータプラットフォームの提供(現段階で情報少ない)ということで発表されています。

以上、HPEで提供するSDS製品とQumulo についてでした。(^^)/