マルチシャーシ リンクアグリゲーション (MC-LAG)とは? ースタックとの違いから分かる止まらないネットワーク設計ー
はじめに
こんにちは。SYCの伊藤と申します。
マルチシャーシ リンクアグリゲーション という技術をご存知でしょうか。
「スタックとは違うの?」「名称は知ってるけど…」という方もいらっしゃるかと思います。
本記事では、
・MC-LAGとは何か
・スタックとの違い
・メリットと注意点
について紹介します。
マルチシャーシ リンクアグリゲーション (MC-LAG) とは?
マルチシャーシ リンクアグリゲーション (MC-LAG、MLAG ともいう) は、複数台のスイッチをまたいでリンクアグリゲーション (LAG) を構成する技術です。
具体的には、その機能に対応している 2 台以上の物理スイッチ間でピアリンクを構成して通信状態を同期させ、
あたかも 1 台のスイッチのように通信させる技術を利用して行う、冗長化を実現する仕組みです(スタックとは異なります)。
LACPを用いたリンク冗長化やネットワーク冗長化を実現し、 高可用性構成を構築する際に有効です。
この技術により、
・スイッチ障害時の通信継続
・複数リンクの同時活用
・帯域の最大活用
などを実現します。

従来のスタッキングで行う LAG とは何が違うの?
MC-LAG とスタッキングは、「複数台のスイッチを論理的に単一のスイッチのように見せる」という点で共通しています。
しかし、スタッキングでは構成する物理スイッチのうち 1 台が Active (いわゆるマスターのような役割) となり制御プレーン 1 つで動作するのに対し、
MC-LAG では構成する物理スイッチそれぞれが Active であり、各機器で独立した制御プレーン (2 台構成で 2 個の制御プレーン)
となります。
また、
・スタッキングも何もされてない単体スイッチで LAG を構成していた場合
2 回線以上の冗長結線であっても、スイッチそのものが単一障害点となります。
・スタッキング構成スイッチで LAG を構成していた場合、
たまたま Active であったスイッチが故障してしまった場合に、
Active 切替までのわずかな時間ですがダウンタイムが発生します。
しかし、MC-LAG では接続した 2 台のスイッチが制御情報をやり取りし、
・通常時は両方のスイッチがパケットを処理
・片方のスイッチに障害発生した場合はもう片方のスイッチのみで処理
・リンク障害が発生した場合はスイッチ間リンクを迂回経路にして、通信を継続する
といった具合に冗長性もしっかり担保されています。

MC-LAG の注意点
MC-LAG は標準化されておらず、ベンダーごとの独自実装となっています。
たとえば、HPE 社の Juniper では「MC-LAG」、HPE 社の Aruba では「VSX」、Cisco 社の Nexus シリーズでは「vPC」、Arista 社では「MLAG」といった形です。
したがって、MC-LAG もスタッキング同様、同一ベンダーでの実装が原則必要です。
また、「物理的に別機器」として動作するということは、当然それぞれの筐体への設定投入が必要になります。
設定、運用コストが多少かかってしまう代わりに、可用性や冗長性を担保したい場合のソリューションといえるでしょう。
MC-LAG 対応の代表的な機種
MC-LAG に対応している代表的な機種を一部ピックアップしてみました。
なお、MC-LAG は上述の通り、ベンダーごとの実装となっており名称も変わってきます。
●HPE社 Aruba AOS-CX シリーズ
HPE 社の Aruba は MC-LAG 構成 (Aruba では VSX という名称が一般的です) に対応しています。
シンプルかつ設定が比較的容易なことが特徴です。
機種としては CX 6400、CX 8100、CX 8320 などが対応しています。
●Juniper シリーズ (現在は HPE 傘下)
Juniper シリーズも MC-LAG 構成 (Juniper では MC-LAG という名称が一般的です) に対応しています。
L3での接続を前提としており、ルータ的思想であるのが特徴です。
機種としては QFX シリーズ、EX シリーズ、MX シリーズ (ルータ) などが対応しています。
●Cisco社 Nexus シリーズ
Cisco 社の Nexus シリーズも MC-LAG 構成 (Cisco では vPC という名称が一般的です) では超メジャーな機種です。
設計ナレッジが豊富で性能、用途がコアスイッチや DC インフラ向けとなっていることが特徴です。
機種としては9000シリーズ、7000シリーズ などが対応しています。
MC-LAG のまとめ
MC-LAG は、複数台のスイッチを仮想的に1台のスイッチのように見せることにより
・スイッチ障害時の通信継続
・複数リンクの同時活用
・帯域の最大活用
などを実現する、可用性と冗長性に優れた技術です。
一方で、それぞれのスイッチは独立して動作するため、スタック構成に比べ設計や構築の手間はかかります。
可用性要件と構築や運用の手間、どこに重点を置くかで採用するソリューションは変わってきそうです。
次回記事では、
・障害時の動作
・管理性
・コスト
・MC-LAG と スタック どちらを採用すべきか (ユースケース比較)
など、MC-LAG とスタックについてそれぞれより細かく比較しようと思います。
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